Interview
サテライトオフィスの可能性
「コザしんきんスタジアム」は、沖縄自動車道・沖縄南ICからのアクセスも良く、利便性も抜群。高校野球地区の予選会場として親しまれているだけではなく、プロ野球チーム・広島東洋カープの一軍が、春季キャンプ後半に拠点とする球場です。キャンプシーズンには、県内外から多くの野球ファンが集まります。プロ野球選手も利用する球場で、バッターが見渡すような臨場感のある大パノラマは、野球ファンならずとも感動を覚える景色です。
周辺には、2023年FIBAバスケットボールワールドカップの試合会場となる「沖縄アリーナ」をはじめ、陸上・テニス・バスケットボール・野球…など、多種目のスポーツに対応した施設が集積しており、スポーツをする人だけでなく、スポーツにまつわる、さまざまなビジネスの拠点としての可能性を持っています。そのような「コザしんきんスタジアム」内に、Wi-fiやコンセントが完備されたコワーキングスペースが誕生しました。沖縄市民に限らず、誰でも気軽に利用できます。
「コザしんきんスタジアム」コワーキングスペースの新設に伴い、あらゆる分野でスポーツビジネスに携わる方々を招き、スポーツ・ビジネスの拠点に求められるもの、この場所から広がる地域発展の可能性についてご意見を伺いました。
コワーキング機能を備えつつ
施設が持つストーリーを伝え、モチベーションのあがるビジネス拠点へ。
最近では「横浜スタジアム」や「ヤンマースタジアム長居」など、スタジアムの施設内にコワーキングスペースを併設しているところが増えてきています。「コザしんきんスタジアム」の場合、近隣には「沖縄アリーナ」や「沖縄県総合運動公園」など、さまざまなスポーツ施設があり、各施設間のアクセスも良いため、選手だけでなくスポーツビジネス関係者にとってもメリットは大きいですね。毎年この場所で、広島東洋カープのキャンプが開催されているという、施設が持つストーリーも素敵です。この施設がスポーツビジネスに関わる方たちの拠点となるには、快適に仕事ができる環境であることはもちろん、具体的なメリットを提示し、訴求することが必要です。この施設の場合、開放感あふれる球場を目前にしながら仕事ができるので、スポーツビジネスに関わる人にとっては、モチベーションのあがる空間ですね。
青田美奈さん
沖縄スポーツ関連産業協会(ワンスポ沖縄)代表理事、株式会社レジスタ取締役COO
東京の大手IT企業のグローバル営業を経て、2006年にスポーツマーケティング会社に入社。以後10年に渡りサッカーやオリンピック・パラリンピック関連の業務に従事。サッカーW杯スポンサー向けの調査事業や、イベントコーディネートを担当。2006年ドイツ大会、2010年南ア大会の2度のW杯で現地業務に従事。オリパラ業務では、2020年東京オリ・パラ招致委員会、招致決定後の組織委員会の広報業務のサポートや、会場建設関係の海外コンサルとのリエゾンなどを担当。2010年バンクーバー冬季五輪、2012年ロンドン夏季五輪で現地業務に従事。2017年に沖縄へ移住し、2019年より内閣府主導の「沖縄スポーツ・ヘルスケア産業クラスター推進協議会」プロジェクトマネージャーとしてスポーツ産業の活性化を目指す。2022年、「スポーツで稼ぐ」をモットーに民間主導で一般社団法人沖縄スポーツ産業協会(ワンスポ沖縄)を設立。代表理事に就任。
通信環境と、まちのアクセスの良さを活かし
まち全体でスポーツを盛り上げる雰囲気づくりを。
スポーツ関連の出張では、通信環境とアクセスが良いと助かります。2022年に「FIFAサッカーワールドカップ」が開催されたカタールでは、通信にFREE SIM(フリーシム)を活用していました。国と通信会社が連携してSIMを配布していたので、SIMをスマートフォンに挿してテザリングすればすぐに利用できる。アクセスは、地下鉄とバスが乗車無料でスタジアム直結。会場や宿泊するホテルも、エリア内にコンパクトにまとめられていて、移動もしやすい環境でした。また、大きな国際大会が開催される都市では、まち全体で来訪客を歓迎する「シティ・ドレッシング」(大規模イベントのPRなどのために、大型ポスターや電飾で街中を飾り立てること)がなされ、まち全体でスポーツを盛り上げていく雰囲気を感じられます。沖縄市のように、スポーツ施設と飲食店・宿泊施設がコンパクトにまとまった地域なら、まちや行政などが一体となって動くことで、地域の価値を高め、スポーツビジネスの可能性を広げられるように思います。
佐藤哲也さん
株式会社スケール 取締役
株式会社ソル・メディア 執行役員
海外サッカー専門メディア『footballista(フットボリスタ)』、スポーツクライミング専門メディア『CLIMBERS(クライマーズ)』プロデューサー。スポーツメディアプロデュース事業と並行して、国内外のスポーツ競技団体、プロスポーツチーム、広告代理店等をクライアントに、戦略立案、プラニング、セールス支援、スポーツアクティベーションの企画制作を手掛ける。2023FIBAワールドカップ関連業務も多数。
大容量のデータをアップロードできる通信スピードと
アクセスしやすい周囲環境。
シティWi-Fiや宿泊施設のWi-Fi環境は、観光にはとても便利ですが、スポーツイベントや大会などを撮影するカメラマンにとって、出張先でも大容量のデータをアップロードできる通信スピードは、最優先事項と言えます。加えて、カメラマンの場合、撮影機材も多く、滞在時間も限られているので、ホテル以外にもスーツケースや荷物を預けられる場所があると、その場所を拠点に動きやすくなります。その点、この施設の周囲には、さまざまな運動施設がコンパクトにまとめられているので、メディア関係者にとっても便利ですね。撮影期間は、ほとんどの時間を撮影と移動に費やすので、食事の時間が短く、手軽に食べるものが買える売店などがあると嬉しいです。
竹見脩吾さん
スポーツフォトグラファー
招致時代より、東京2020オリパラの公式フォトグラファーを務める。昨今はバスケ、3×3や群馬クレイサンダーズなどのオフィシャルフォトグラファーとしても活動中。
FIBAバスケットボールワールドカップ2023を機に
スポーツビジネスが加速する場に。
コワーキングスペースは、個々に仕事できる環境は揃っていても、会議室などを備えた施設はまだ少ないように感じます。時間利用ができる会議室があること、有料でも資料が出力ができて、企画などを共有できるようなサテライトオフィスだと嬉しいです。また、visitorの立場で考えると事前に施設や、その周辺に関する案内があると助かりますね。コワーキングスペース周辺の飲食店や、周辺のスポーツ施設やホテルなどの情報が、コンパクトにまとめられていると利用しやすく感じます。
2023年夏は、いよいよFIBAバスケットボールワールドカップが開催され、沖縄市にある「沖縄アリーナ」も試合会場の一つになっています。世界各地からトップ選手が集結し、沖縄の子供たちにとってはトップレベルのバスケットボールに触れる絶好のチャンスとなります。また、大会をきっかけに世界中の方々が沖縄に注目することで、これまで沖縄のことを知らなかった世界の方々に沖縄の素晴らしさを発信できる最高の機会だと思っていますので、ぜひ、地域と共に盛り上げていければと考えています。
笠原健太さん
FIBAバスケットボールワールドカップ日本組織員会2023 副事務局長/Event Director
早稲田大学卒業。その後、オハイオ大学大学院へ留学し、MBA及びスポーツ経営修士を取得。在学中に、MLB ロサンゼルス・ドジャーズおよびワシントン・ナショナルズのインターンシップに従事。その後、国内広告代理店に就職しプロゴルフトーナメントのプロデュース、プロゴルファーのマーケティング、バスケットボール担当などを経て、日本バスケットボール協会へ転職。2023年沖縄で開催される FIBAバスケットボールワールドカップ2023の開催に向けて沖縄で奮闘中。
よりスポーツが身近に。そして、万人が集う場に
沖縄本島の中心に位置する沖縄市が掲げる、「スポーツコンベンションシティ宣言」。地域に根ざしたスポーツ活動を通して、健康で豊かな心とからだを育て、活気と共感に満ちたスポーツ交流のまちづくりを目指しています。すべての人がスポーツに関心を寄せ、スポーツをする人も、見る人も、支える人も、お互いに全力で応援し、挑戦し続ける、持続可能な取り組みを推進しています。
「コザしんきんスタジアム」に隣接する「沖縄アリーナ」は、 Bリーグ・琉球ゴールデンキングスのホームコートになっています。2023年8月に開催される、FIBA(国際バスケットボール連盟)主催のワールドカップでは、フィリピン・インドネシアとともに、日本では唯一、「沖縄アリーナ」が開催会場となっており、世界的なトッププレイヤーが集結することで、沖縄市はもとより、沖縄県全体の盛り上がりが期待されます。
スポーツビジネスが加速する沖縄市の「コザしんきんスタジアム」にコワーキングスペースが新設されたことで、アスリートだけでなく、スポーツビジネスに関わる方々にとっても利用しやすい環境が整い、地域の発展にも一役買う、拠点としての期待が高まっています。